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パラメトリックデザインを用いた
​階段用シューズラックを製作するシステムの提案

​制作期間:2020年1月〜2021年1月(1年)

​制作人数:1人

​パラメトリックデザインを用いた階段用シューズラックを製作するシステムの提案

既製品のシューズラックは一般的に平坦な床に設置するように設計されているため、階段のような面の高さが異なる場所への設置は困難で一段に一足のみの靴しか置くことができない。階段に設置可能なシューズラックをシューズコレクター一般向けに製作できればシューズラックに靴が収まりきらなくなる課題を解決できる。本研究ではパラメトリックデザインを活用し、階段に設置可能なシューズラックを作製するシステムをデザインした。方法は事前調査を行い設計条件から、シューズラックを作製するための線データ を Rhinoceros 上で出力できるシステムを制作した。レーザーカッターを使い、生成された 線データを MDF にカットし、実際の階段の寸法に合うシューズラックを作製した。このパラメトリックデザインを活用したシステムを使う際の製品の設計上の注意点についてまとめ、システムの有用性やサービスモデルについて考察をおこなった。

RESEARCH

靴を収集する趣味がある人にはどのような課題があるか調査 を行った。靴は玄関のシューズラックに収納するのが一般的だが、シューズコレクターは玄関のシューズラックにそのすべての靴を収納するには限界がある。シューズコレクターは どのようにこの課題に対処しているのか調査を行った

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シューズラックに靴が入りきらなくなった分、お気に入り靴を選び出し、階段一段一段にディスプレイしていた。階段は段数が決まっているため、置ける数が制限される。階段の上には空間があり、その空間を使うためにそこにシューズラックを設置して、より多くの靴を収納もしくはディスプレイすることはできる。

しかし、一般にシューズコレクターに販売することを前提にすると、家によって階段の寸法が異なるため、その家の階段の寸法にあわせた階段に設置可能なシューズラックが必要である。階段に設置可能なシューズラックはオーダーメイドで作ることが可能だがシュー ズコレクターのシューズラックに靴が収まりきらないという一般的な課題は解決できない。 本研究では階段用のシューズラックを設計し、このシューズラックをシューズコレクタ ー一般に販売することを想定してシステムをデザインした。ユーザーの細かな条件(階段の 寸法、靴のサイズ)を定式化するために、パラメトリックデザインを活用し、それぞれの家の階段の寸法に合ったシューズラックを作れるシステムを提案する。

MODELING

効率的に靴を重ねるために事例に挙げたSOLE STACKS を参考にして靴の形を近似し、より効率的になるよう再定義した。SOLE STACKS は靴の収まる形を三角形で近似してい る。より効率的な形を生成するために四角形で近似を行った。さらにその形を左右反転させ重ねる際、上辺と底辺の長さを等しくすることで重ねた全体の形を単純にできる。全体の形が複雑になるパラメトリックデザインをしたときに制御できず予期せぬエラーの原因になる。その結果図のような等脚台形に決定した。

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さらに近似するためにこの等脚台形をもとにして制御点を増やし五角形を生成することにした。靴のかかと側のソール部分に合わせて生成した等脚台形とソールの少し上の一番飛び出た部分に合わせて生成した等脚台形のギャップ部分の範囲に含まれる靴の形を解消するためにかかと側の辺の中点に制御点を設け靴の形が解消される点まで辺に垂直に移動 した点を新しい制御点とし五角形を生成した。この五角形を軸としてモデルを作製する。

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階段の踏面を変更したときの階段とこの五角形組み合わせを検討し、パラメトリックに製作できるシューズラックを設計する必要がある。そのために想定する靴と階段の寸法の 範囲を決めた。

靴のサイズと階段の踏面の範囲

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靴を置くのに必要な内寸の幅は“靴のサイズ+60mm”とする。 この範囲で想定される階段の踏面を変更したときの階段とこの五角形組み合わせは図のように 3 種類ある。この 3 つすべてに対応するデザインでなければパラメトリックに変更できない。

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五角形の高さを固定すると五角形の左右で階段との距離が異なるそれぞれの組み合わせ に対応するためシューズラックの足の部分をこの組み合わせと蹴上に応じて変化できるよ うに設計した。

OUTPUT

レーザーカッターを用いて、モデリングしたデータをアウトプットした。

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​SYSTEM

既製品のシューズラックは一般の靴のほとんどが入るように寸法を決め設計されているが、階段に設置できるシューズラックの作製をシステムとして機能させるためにはユーザ ーが入力する情報を選定する必要がある。選定することでユーザーのニーズを定式化できる。入力する情報が多ければユーザーの負担が大きくなり、不十分だと適切に機能するシュ ーズラックが作れない。ユーザーテストの結果を踏まえユーザーが入力する情報を決定し た。

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​今後の展望

家具は一般的にフラットなスペースに置くことを想定して、デザインされている。それはどんな部屋にもフラットなスペースがあるからである。しかし、それは同時にその部屋に置ける家具は制限される。何かを収納する機能を持つ家具は、その制限によって収納の 限界に直面する。家のモノは際限なく増えるが、収納するスペースは制限されてしまうからだ。コレクターにとってこれは非常に大きな問題だ。今回の研究からターゲットユーザ ーを絞り、家の階段や決められたスペースなど形状の決まった測れる情報があれば、複雑な形状でもその情報から目的の機能を果たす家具をパラメトリックデザインを活用によって解決できる。

卒業論文

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